人は永遠の命を手に入れられる?!

今日は私の大好きなCOTEN RADIOのバックナンバーである「老いと死の歴史編」を聞いて、眼からうろこなことがたくさんありました。その中で生物の寿命に関する話が個人的には非常に興味深いものでした。

人の平均寿命がどんどん伸びていることは皆さんご存じだと思います。例えば日本の女性では1955年には67.75歳であったものが、2019年には87.45歳まで伸びています。つまり、60年程度で20年ほど平均寿命が伸びているのです。では、これが60年後にはさらに20年伸びて107歳に、さらに60年後には127歳になるかというと、もちろんそうではありません。今も昔も長生きする人はしていたものの、昔は幼児期や若いときに亡くなってしまう人が多かったために、平均としての寿命が低かったのです、、、と理解していました。

しかし、今回のCOTEN RADIOの話を聞いて、その考えがある程度はあっているものの、一部誤解していたことが分かりました。生物の平均寿命というものは、何らかのトラブル(事故や取って食われたり)で死んでしまう年齢の平均によって、遺伝子的に規定されてしまうというのです。この説明ではわかりづらいと思いますので、是非COTEN RADIO(老いと死の歴史編)を聞いていただきたいのですが、もう少し具体的に説明しようと思います。

まず短命な生物ほど成熟が早くかつ生殖時期が早い、長命な生物ほど成熟が遅く生殖時期が遅いという事実があります。新潟大学の松井秀彰先生に教えていただいたのですが、松井先生がパーキンソン病の研究で用いているアフリカメダカは、非常に老化が早いことで有名なようです。このアフリカメダカは砂漠の中で雨期にできた水たまりに孵化し、干上がってしまう前に生殖を完了して卵を産み、その卵が乾期を生き延びて再び雨期に孵化するという生態をもっています。そのため、このアフリカメダカが長生きをするメリットはなく(干上がって死んでしまうので)、早熟で早老であることが、この種がこの地では有利な条件となるわけです。

平均寿命の話に戻ると、例えば生殖時期が10歳の生物がいたとして、その生物の半分が8年程度で外敵に食べられたりして死んでしまうとすれば、半分は子孫を残すことができずに、だんだん淘汰されることになります。その中で生殖時期が早い個体が何とか子孫を残すことによって多数例を占めていき、早熟・短命の生物が大多数となってきます。つまり、いろいろな環境下での平均寿命が、遺伝子的な寿命も規定してしまうということなのです。

学生のときに習った、テロメアが細胞の老化や寿命を規定するという話も思い出しました。なぜ生物にはそのように、寿命をコントロールする機能があるのか不思議に思っていましたが、生存環境に従い寿命を適切な期間にコントロールすることが、種の繁栄にとって必要な機能であるのかと、今になって少し腑に落ちた次第です。

では、人の寿命はどんどん延びて、不老不死になることがあるのか。それに関しては、脳の神経細胞がもたないなど、いろいろな反論があるようですが、まだ確定的ではないようです。ただ、遺伝子的に寿命が変わるには10世代ほど世代を経る必要があるとのことで、我々が生きている間は200歳まで生きるというような人はおそらく出現しないだろうと思い、なんとなく安心した次第です。

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