脳は痛みを感じない?!

よくある質問で、「よく頭痛がするのですが、脳梗塞ではないでしょうか?」というものがあります。このような状況の場合、ほとんどが脳梗塞ではないと断言できます。なぜなら脳自体は痛みを感じないからです。

機能外科という手術の分野があり、そこでは脳に電極を刺して電気刺激をしたりします。もちろん脳を露出するために皮膚や骨を切ったりするのは痛いので、そこは麻酔を使うのですが、脳を刺激したときの反応を確かめるために、全身麻酔で寝かせずに起きたまま脳を刺激することがあります。ぞっとする話かもしれませんが、脳をさわったり電気刺激したりしても痛みは感じません(つねったりするとどうかといわれると、脳が壊れてしまうリスクがあるので、そんなことはしないので実際にはわかりませんが)。

一方で、脳梗塞は脳の血管が詰まってそこにある脳の神経細胞が死んでしまう病気です。脳以外の損傷はないので、基本的に痛みは感じません。では頭痛はどのような時に起こるのでしょうか。

3種類の脳卒中:脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血

一次性頭痛と二次性頭痛

頭痛は脳が痛みを感じているのではなく、脳の周りを取り囲む膜や血管が痛みを感じるのです。頭痛は大きく分けて一次性頭痛と二次性頭痛に分かれます。一次性頭痛は片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などの繰り返す頭痛です。一次性頭痛は頻度の多いやっかいな頭痛ですが、一時的な機能的不具合なだけで、命に関わることはありません。二次性頭痛は他の病気が原因で頭痛が起こることを示します。命に関わることがあるのはこの二次性頭痛です。

最も怖い頭痛:くも膜下出血

二次性頭痛で最も重大なものは、くも膜下出血です。脳の表面にある血管が破れて脳の表面に出血する病気です。典型的には「突然バットで殴られたような頭痛」が起こります。すぐに治療が必要な病気なので、直ちに病院を受診する必要があります。ただし最近ではそこまで強い頭痛でないことも多いとされています。初めて経験する瞬間的に起こる頭痛を感じたときは、くも膜下出血を疑って受診した方が良いと思います。

脳内出血

脳内出血のときは頭痛を感じることはありますが、それは脳の中に血液がたまって結果的に脳が腫れることによって、周りの血管や膜が引っ張られたり圧迫されたりして痛みがでます。そのためくも膜下出血のような激烈な痛みではなく、鈍痛のような頭痛になります。脳内出血や脳梗塞のときには、痛みよりもその障害された脳の症状が問題となります。例えば運動神経の通り道が障害されると麻痺が起こったりします。逆にそのような症状がなければ脳梗塞や脳内出血はあまり疑いません。ただし非典型的なときもあるので、いつもと何か明らかに違うという症状があれば、病院を受診してください。

まとめ

以上、脳は痛みを感じないというお話でした。脳卒中の個別の詳細についてはまた別の項で説明しようと思います。

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