Dr.コウの病気教室(2限目)

シマエナガのエナちゃんとDr. ハシビロ・コウの病気のはなし

Dr.コウ、この前はありがとうピー。助かったピー。

それはよかった、もうめまいは大丈夫?

エナ「すっかり治ったピ」

コウ「原因がちゃんとわかれば、怖くないでしょ?」

エナ「本当にそうだピ」

じゃあ、エナも医学の勉強をしてみる?

えー、難しそうだピ、エナには無理だピー

コウ「もちろん医学には難しいことがたくさんあって、僕もわからないことがたくさんあるんだけど、今回みたいに少し知っているだけで役立つこともたくさんあるんだ。めまいのことは今回のことでちょっとわかったでしょ?」

エナ「たしかに、耳の石ころのことだと思ったら、あんまり怖くなくなったピ」

コウ「そうそう。突然だけど、スマートフォンで写真を撮ったり動画を見たりメールを送ったりできるのはなぜかと聞かれて、答えられる?」

エナ「え?そんなの全然わからないピー」

コウ「そりゃそうだよね、僕も全然わからない。でも自分がやりたい機能を使うことはできるよね?」

エナ「そうだピ、TikTok大好きだピ。エナのフリフリダンスはいつも人気だピ」

コウ「医学だってそうなんだ。すべての医者が、たとえばMRIの原理や風邪薬が効く原理をすべてわかっているわけではないんだよ。でも、患者さんに役立つ情報、たとえばMRIでこんな画像だとこんな病気が疑われるとか、風邪薬のこの成分は熱を下げるしこの成分は痰を出やすくするとか、一つ一つの具体的なことは知っている。

つまり、TikTokでこの操作をするとこのような機能が使えるということと同じぐらいのレベルで、いろんな使い方を知っているという感じと似ているんだ。」

エナ「へー、そうなんだピ。お医者さんは体のことは全部知ってると思ってたピ」

コウ「もちろん、エナよりはたくさんのことを知っているよ。あと、エナには知る必要のないことまで勉強するんだ」

エナ「たとえばどんなこと?」

コウ「そうだねー、いろんなことがあるけど、例えば僕の専門の脳神経内科の分野で見る多系統萎縮症という病気では、脳のMRIで被殻外側の線状影や小脳萎縮、橋のhot cross bun signが出て、α-シヌクレインがアストロサイトに凝集してGCIというものが、、、」

エナ「わけわかんないピー」

コウ「そうそう、こんなことはわからなくていいんだ。専門の医者に任せればいい。」

エナ「じゃあ、どんなことを勉強すればいいの?」

コウ「たとえば、手洗い、うがいが風邪の予防に良いってことはわかるよね。」

エナ「新型コロナが流行ってから、しつこいぐらい聞いたピー。」

コウ「そうそう、そんな日常に役立つ常識を少しずつ増やしていけばいいんだ。」

エナ「でもテレビなんかでいろんな珍しい病気がたくさんあって、何を勉強したらいいかわからないピ」

コウ「そうだねー、テレビとかでは、ほとんどの人には関係のない、すごい珍しい病気とか症状を、おもしろおかしくいうことがあって、それがよけいに医学を難しいものと考えさせてしまうよね。」

エナ「そうだピ、体の調子が悪いと、何か恐ろしいことが体で起こってないか、心配になることがあるピ。」

そうだね、たしかに思いもよらないまれな症状が出ることはあるけど、体のどこが悪くなったらどんな症状が出るというのはたいてい決まっているんだ。

コウ「たとえば、肺が悪くなったら息がしんどくなるとか。」

エナ「そうなんだピ、でもなんかまだ心配だピ」

コウ「でも、この前のめまいのことはもう気にならなくなったでしょ?わからないってことは怖いってことなんだ。だから、少しずつ知っていけば怖いことも減ってくるんだよ。」

エナ「そうか、ちょっとずつ勉強してみようかな。Dr.コウ教えてくれる?」

コウ「もちろん!一気に勉強すると頭がパンクするから、ちょっとずつ一緒に勉強していこうね。」

エナ「わかったピ!」

勉強をしていく上でまず、体のどこが悪いのか(解剖学的診断)、それがどのような原因で起こっているのか(病因的診断)、という二つの視点から整理すると、全体像が見えやすくなると思うよ。その上で、よくある病気を少しずつ見ていこう。

それなら、なんとかできるかもしれないピ。がんばるっピー。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です