ゾニサミド

はじめに

ゾニサミド(商品名:トレリーフ)は、もともと「てんかん」の治療薬として使用されていました。国立精神神経医療研究センターの故・村田美穂先生が、たまたまてんかんをもつパーキンソン病患者に投与したときに、パーキンソン症状の改善効果を実感され、治療薬として開発されたという経緯があります。

*他のパーキンソン病治療薬の解説はこちら

ゾニサミドの作用機序

ゾニサミドは前述のとおり、パーキンソン病患者の症状改善に効くという経験則から開発された薬であるので、その効果がでる機序についてはまだ不明な点が多く、専門的な話になるのでここでは省略します。ドパミン刺激を強める作用はあるとされていますが、その他の作用もあり、それがこのゾニサミドの特有の効果に繋がっている可能性があります。

ゾニサミドの特徴

ゾニサミドの最も注目すべき特徴は副作用の少なさです。抗てんかん薬として使用する場合は、300mg前後使いますが、パーキンソン病治療薬としては、25mgもしくは50mgとなります。量が増えると眠気、ふらつきの副作用がでることがありますが、25mgでは問題となることは少ないです。

抗パーキンソン病薬の共通の副作用として幻覚や妄想などの精神症状が挙げられますが、ゾニサミドは比較的その症状がでにくいとされています。そのため、パーキンソン病の類縁疾患であり、認知機能低下や幻覚がでる「レビー小体型認知症」の治療薬としても比較的安全に使えます。

ゾニサミドは効果時間が長いため、オフの底上げ効果が期待できます。とくに治療に難渋する夜間から早朝の動きの悪さを改善させるために使うことがあります。

もう一つの特徴としては、振戦の改善効果です。動作緩慢は他の薬でよくなっても、人によっては振戦だけよくならないという場合があります。そのときにゾニサミドが奏功することがあり、試してみる価値があります。 *過去の関連論文( DOI: 10.1016/j.pbb.2010.11.014

まとめ

  • ゾニサミドは様々な作用機序でパーキンソン病の症状を改善する。
  • 幻覚・妄想などの精神症状がでにくい。
  • 効果時間が長いため、底上げ効果によって、夜間〜早朝などの症状を改善させる。
  • 振戦にとくに効果をみとめることがあるので、他の薬で改善がない場合は試してみる価値あり。

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