パーキンソン病とは

目次

パーキンソン病の症状

Movement disorders. 2020. Mar; 35(3): 389-91.

動作が鈍くなる、歩行が小股になる、姿勢が悪くなる(図)というような症状が主症状です。このような症状が年単位でゆっくり進むのが特徴です。

その他、じっとしているときに手足がふるえる「静止時振戦」という症状が特徴的で、左右差のある静止時振戦(右手だけふるえているなど)があれば、かなりパーキンソン病らしい特徴です。一方で何かしようとしたとき(字を書いたり,水を飲もうとしたり)に起こるふるえは、「本態性振戦」といって違う病気である可能性が高いです。ただし振戦を認めないパーキンソン病患者さんもいらっしゃいますので、振戦がないからパーキンソン病でないとはいえません。

パーキンソン病の原因

パーキンソン病の根本的な原因は未だ不明ですが、以下のことがわかっています。

  • 脳のドパミン神経がかなり減っている。
  • 脳のドパミンが減ることによって、運動神経の回路がうまく回らなくなる。
  • 減っているドパミン神経内にレビー小体(成分はαシヌクレインという蛋白)がたまっている。
  • 脳だけでなく、体のあちこちにレビー小体が出現する。
  • αシヌクレインは一つの神経細胞から他の部位に伝播していく。

パーキンソン病のその他の症状

パーキンソン病には運動症状以外の様々な非運動症状があることがわかってきています.

  • 自律神経症状(便秘,頻尿,起立性低血圧)
  • 精神症状(抑うつ,やる気の低下,衝動制御障害など)
  • 嗅覚障害
  • レム睡眠行動異常症(寝ているときに叫んだり,動いたりする)

パーキンソン病の治療

内服治療

減少した脳内のドパミンを補充したり、肩代わりしたりして,ドパミンの機能を戻してあげることが主な対症療法です。対症療法というと場当たり的な治療と思われがちですが、きちんと内服して運動機能を保つことで、明らかに予後を改善させる効果があります。完治しないからと言ってあきらめるのではなく、きちんと治療を受けましょう。以下に主な治療薬を挙げます。

デバイス治療

内服治療で効果がある場合でも進行してくると、治療の効果が現れるオン状態と治療の効果が切れるオフ状態が出現してくるようになります。またドパミン機能の調整がうまくいかずに不随意運動(ジスキネジア)が起こる場合もあります。これらの症状が出現した場合に検討されるのが、デバイスを用いた治療法になります。

現在日本で使えるデバイス治療には以下のものがあります。

これらはすべてのパーキンソン病患者さんが行う治療ではなく、慎重に適応を決めてから行う治療です。主治医とよく相談する必要があります。

非薬物療法

上記の二つに加えて,リハビリテーションも非常に重要です.専門的なリハビリテーションプログラムもありますが,なかなか続けて行うことが難しいとされています.やはり自分で楽しんで続けられる運動を探すことが最も重要だと思います.最近,パーキンソン病業界では卓球が流行りつつあります.その他,太極拳,ボクシングなど,色々なことが試されています。

最近我々のグループが注目しているのが,マインドフルネス瞑想です.ごく簡単に自分一人でもできるもので,抑うつの改善などの報告があります.

まとめ

  • パーキンソン病は、鈍い動作、小股歩行などが、ゆっくり進行する病気である。
  • 手足のふるえは、人によってある場合とない場合がある。
  • ドパミン神経にレビー小体というものがたまって、元気なドパミン神経の数が減ってしまう。
  • 動き以外の便秘やレム睡眠行動異常症、嗅覚低下などの、非運動症状も起こる。
  • ドパミンを補充する治療で症状は改善するため、適切な治療が必要である。
  • 薬剤治療以外にも、心身ともに健康を保つ活動が重要である。

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