免疫のきほん

免疫とは

みなさん、免疫という言葉は聞いたことがあると思います。細菌やウイルスなどの微生物が体の中に入ってきたときに、感染症から体を守る機構のことです。免疫は主に血液の中の白血球が担当します。

免疫を担当する主な白血球

この白血球たちが、様々な方法で細菌などの侵入者をやっつけます。まず好中球が突撃隊として攻撃します。白血球だけではなかなか倒しきることが難しいですが、それでも何とか一部を倒すと、マクロファージなどがそれを食べてリンパ球であるT細胞に伝えます。その情報を調べて強力な攻撃準備をするわけです。攻撃態勢を整えるまでには通常1-2週間かかります。時間はかかりますが、一旦調べてしまうと、強力な軍隊であるキラーT細胞や、抗体という武器を作るB細胞が活躍することになります。その他の免疫機序もありますが、主なものはこの経路であり、他の機序については今回は省略します。

ワクチン

先ほど、攻撃態勢を整えるまで1-2週間かかるといいましたが、それは敵がわかっていない状態のときです。いままで感染したことのあるウイルスなどは、その情報をもっているので、すぐに対応することができます。

そこで、重症化することが多い感染症に対して、あらかじめその情報を知らせておく手段があります。それがワクチンです。ワクチンにはいろいろな種類がありますが、基本的な原理としては、感染しないように弱ったり死んでしまった微生物やその一部を、あえて体の中に入れて免疫細胞がその情報を取得します。そうすることで、あらかじめその微生物に対する免疫を獲得することができます。

自己免疫性疾患

このように免疫は体の中に侵入してきた敵をなんとかやっつけているのですが、不具合もあります。敵だけをやっつければよいのですが、その周りの自分のからだも一緒に攻撃して炎症を起こしてしまうのです。それで微生物が悪さをする以上に自分のからだが壊れたりすることもあります。また熱が出るのも免疫反応の一種であり、侵入したウイルスを弱らせたりする作用があります。

一方で、その炎症反応がさらに過剰になり、微生物がいないのに、自分の体を攻撃しつづけてしまうことがあります。それが自己免疫(自己に対する免疫反応)です。

例えば自己免疫疾患の中で有名な病気としては、関節リウマチがあります。自分の関節なのに白血球がそれを異物・敵と勘違いし、それに対して攻撃をすることで関節がボロボロになってしまいます。

このような自己免疫疾患は関節に限らず、全身のどこにでも起こります。脳なら自己免疫性脳炎、肝臓なら自己免疫性肝炎、膵臓なら自己免疫性膵炎となります。さらに例えば自己免疫性脳炎の中でも様々な原因があり、作られる抗体の種類が違ったり、脳のどこが障害されるかが違ったりもします。

まとめ

以上、免疫のきほんについて説明しました。免疫は細菌やウイルスなどの外敵から身を守るものとして働きます。主に白血球がその役割を果たしますが、白血球にも好中球やリンパ球、マクロファージなど、それぞれの役割があります。また、免疫反応は過剰になると自分を傷つけ、さらに自己免疫疾患を発症することもあります。

感染症やそれぞれの自己免疫疾患に関する解説は、また別の項でします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です